株式会社しまむらは、2024年5月15日に公式Instagramアカウント「しまスタイル」にて、AI技術によって生成された新しいファッションモデル「Luna(るな)」を公開しました。
この発表は、ファッション業界における技術革新の象徴として注目を浴び、しまむらのブランドイメージを一層高める重要な一歩となりました。
Luna(るな)とは?
Luna(るな)は、158cmの身長を持つ20歳の女性で、ファッションモデルを目指す服飾専門学生という設定です。
彼女のプロフィールには、可愛いものを見つけることが特技であり、家族にコーディネートを披露することが趣味だと記されています。
また、姉がいるという家庭環境も設定されており、彼女の名前はユーザー投票によって選ばれました。
Lunaは、2024年5月23日にしまむら下高井戸店でモデルデビューを果たしました。
デビューイベントでは、Lunaがしまむらの最新ファッションアイテムを身にまとい、多くのコーディネートを披露しました。このイベントは多くのメディアやファンが注目し、大きな話題となりました。
専用のInstagramアカウントも開設され、Lunaはそこでしまむらのアイテムを使ったファッション情報を発信しています。
季節ごとのトレンドアイテムの紹介や、新しいコーディネートの提案など、フォロワーにとって役立つ情報が満載です。
彼女の投稿は、多くの若者から支持され、ファッションのインスピレーション源として広く利用されています。
出典:https://www.instagram.com/p/C6_NC1fSK9f/
背景にある課題とAIモデル導入の意図
株式会社しまむらは、その店舗展開を主に郊外やロードサイドに集中させており、顧客層は地方の家族連れが多いという特徴があります。
しかし、同社の企画室によると、「若い世代の女性に対するアピールが十分にできていない」という課題が浮上しています。
特に若い世代は、ファッションやトレンドの情報を、従来のチラシ広告ではなく、SNSを通じて取得する傾向が強まっています。
このような現状を受け、しまむらは初めてAIモデルを導入することを決定しました。
従来の広告制作では、モデルやスタッフの手配が必要であり、撮影から広告の完成までに時間がかかるという課題がありました。
しまむら担当者
「スピード感が欠如している」と述べており、急速に変化する女性のファッショントレンドに迅速に対応するために、AI技術の活用が不可欠であると判断しました。
AIモデルの導入により、広告制作が効率化され、若い世代へのアピールが強化されることが期待されています。
これにより、しまむらは最新のファッショントレンドをタイムリーに反映した広告をSNSで発信することが可能となります。若い女性たちに向けて、より魅力的なファッション提案を行うことができるのです。
今後の展望とAIモデルの役割
ただし、現段階ではすべてのモデルをAIに置き換える計画はありません。
広告のターゲットや内容に応じて、人間のモデルとAIモデルを使い分ける方針です。
これにより、しまむらは幅広い顧客層に対するアピールを目指しています。
たとえば、家族向けの広告には親しみやすい人間のモデルを、若者向けのトレンド広告にはAIモデルを使用するなど、柔軟なアプローチを取っています。
最近では、AIで制作された架空のモデルやタレントを広告に起用する企業が増えてきています。
昨年、証券大手の野村ホールディングスは新NISAの広告ポスターに、また大手飲料メーカーの伊藤園は「お~いお茶」のテレビCMにAIタレントを起用しました。
これらの事例は、AI技術が広告業界でますます重要な役割を果たしていることを示しています。
AIを活用することで、迅速かつ効果的にターゲット層にリーチすることができるため、今後ますます多くの企業がAIモデルを導入することが予想されます。
このように、しまむらはAI技術を活用して若い世代へのアピールを強化し、広告制作の効率化を図ることで、ファッション業界における競争力を高めることを目指しています。